高知県の室戸市にある「廃校水族館」はご存じでしょうか?
かなり話題の水族館でもありますので既に行かれた方もいらっしゃるかと思いますが、ずっと行ってみたいなーと思っていた水族館で、冬が近づくとある秋の日に念願が叶ったのです。
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まずはJR高知駅から後免駅を経由し、土佐くろしお鉄道で奈半利駅を目指します。
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土佐くろしお鉄道は後免駅と奈半利駅を結ぶ第3セクター路線なので終点までのんびりと乗車することになります。
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鉄道は奈半利駅から先は無く、公共交通機関を利用するなら奈半利駅ターミナルから出発するバスに乗って廃校水族館へ向かう方法しかありません。
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バスに揺られて約1時間。空海で有名な室戸岬や室戸世界ジオパークセンターを経由して廃校水族館へ向かいますが、ほとんどのバスは室戸世界ジオパークセンター止まり。当然、車が無かったので室戸世界ジオパークセンターでレンタルサイクルを使って約15分。息を切らしながら目的地の廃校水族館に着きました。
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恐らく、公式(?)であると思われるネット情報はTwitterアカウントになるかと思われますが、そこにもありますが
”どこから目指しても遠いです。諦めて 余裕を持って登校しましょう”
とまあ、アクセスは必ずしも良いとはいえませんが、のんびり気持ちの余裕があればそれもワクワクする一つの要素となります。
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年中無休だそうです。中に入ってみました。
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あまりネタバレをするのもアレなので魚たちの一部にしておきます。もの凄く間近にウミガメが見れたり、跳び箱に魚が入っていたり、手洗い場がそのまま水槽になっていたり、思わず写真を撮りたくなる展示がたくさんあります。ネットに沢山あるので探してみてください。
次に館内の様子です。
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こちらの廃校水族館は室戸近海の魚やウミガメが展示されており、色彩豊かな魚であったり何かしらのショーというものはありませんが、地産地消ならぬ地産地観がテーマとなっていて華やかに目を引くことはなくても展示のシチュエーションによってワクワクさせてくれます。自分の母校でもないのにノスタルジックな要素に思い出が共鳴し、小さい頃に川や海で遊んでいて楽しかった気持ちを呼び起こしてくれるなと思います。人気になるわけですね。
そしてメインの展示がこちら
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むろと廃校水族館は、室戸市が廃校活用を目的で5億円を投じて整備した水族館です。本来だと数十億円はかかる水族館に比べると破格に安い投資です。一方で「NPO法人日本ウミガメ協議会」は2001年から室戸市でウミガメの研究発表を行っており、室戸市にあった施設が手狭になったことから室戸市からの運営の申し出に対し「プールでウミガメ飼ってもいいですか?」「はい大丈夫です」と利害が一致、また廃れゆく学校を惜しむ思いから”廃校”を冠した水族館の運営を引き受け2018年4月に開館しました。展示の魚たちは地元の漁師さんたちからタダでいただけるそうで、極力派手な出費を抑えてリノベーションをした手作り感あふれる仕上がりです。
ところがフタを開けてみれば、初年度来館者目標である4万人は開館3ヶ月半で達成。ネットでの公式情報がTwitterであることからも分かるように、SNS時代にバッチリとターゲットされて大きな話題となり、地元住民だけでなく県外からも多くのカップルや家族が来館しているそうです。2022年8月15日には来館者50万人を突破。特に目玉があるわけでもない水族館であるにもかかわらず開館わずか4年でこのハイペースは大きな驚きであるとともに、高知県の人口約70万人を超える日も数年のうちに訪れることでしょう。
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この日は天気も優れずあわや雨が降ってもおかしくない写真を撮るにはいまいちな状況でありましたが、車で訪れる多くのカップルや家族、バイカー集団などがひっきりなしに入ってきていました。この賑わいはもしかすると運営側の人も想像を超えていたことかもしれないなと思います。しかし振り返れば投資を抑え、官民が手を組み、SNSでのキャッチという”当たる”ための要素がしっかりと編み上げられており、運が良かったでは片付けられない成功事例だといえます。とはいえ全国の廃校をすべて水族館にするわけにもいかないですし、パクリをするといった下品な発想は論外ですが、莫大な資金で0から立ち上げるという高いハードルを無理に超えようとするよりも、有りものを知恵と工夫でリノベーションするだけで、まだまだいくつも成功はあるのではないかという、自戒を込めた再認識ができました。
もちろん成功うんぬん以前に、この水族館そのものが楽しくて満足度が高いことは間違いなく、次は晴れた日に車で来てみたいなと思いました。
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