胡桃(くるみ)と人類の歴史はとても古く、早くとも紀元前7000年ごろから食べられていた形跡が残っています。時を経て、今から2000年前には栽培されていた形跡も残っています。そうして、現在に至るまで食されている胡桃のルーツとされるのがペルシャ胡桃で、歴史を代表する胡桃の一種です。
胡桃には非常に多くの栄養成分が凝縮されいます。必須脂肪酸のリノール酸と、オメガ3脂肪酸のひとつα‐リノレン酸および一価不飽和のオレイン酸の含量が非常に高く、特にリノール酸(n-6系)とα‐リノレン酸(n-3系)が理想的なバランスで含まれており、現代人に不足しがちな成分を余すことなく摂取できるといわれています。さらに近年に入ってから多くの医療研究機関から胡桃と記憶に関する論文が続々と発表されて大きな注目を集めているのです。
また、胡桃にはワインよりも豊富なポリフェノールが含有されており、それによって脳に悪影響を与えるフリーラジカルの働きを抑え、脳の働きを円滑にすることがわかりました。さらに、アルツハイマー型認知症の主な原因となる成分アミロイドβが脳内に蓄積されるのを抑える働きが解明さたり、記憶力の向上だけでなく失われた脳機能の補完など脳への働きが次々とわかってきたのです。
古代の人々が知ってか知らずか、人類と長い関係を続けてきた胡桃が、現代病の代表ともいえる認知症への改善のカギを握っていたことには、古代から現代への助言のようでもあり、感慨深いものがあります。
『参考・参照元』
米国アルツハイマー専門誌「Journal of Alzheimer’s Disease」
「脳にいい食事大全」ミシェル・ショーフロ・クック/ 児島 修
論文DOI: 10.3233 / JAD-140675