オキシトシン(Oxytocin)は、下垂体後葉から分泌されるホルモンで、神経細胞で産生される神経ペプチドの一種です。一般的に愛情ホルモンや信頼ホルモンとも呼ばれ、出産や授乳、子育てや他者との親密な関わり合いなどで脳内および血中へ放出され、対人関係を柔和にする効果があります。
対人関係が良好な状態にあると、脳内で多くのオキシトシンが分泌されます。 また、闘争欲や遁走欲、恐怖心を減少させることも分かっています。医療の現場では分娩の促進薬として使用されたり、乳腺の筋線維を収縮させることから母乳の量を増やすことを目的に利用されています。また、自閉症の改善や神経性食欲不振改善、アルコール依存症改善といった精神に起因する多くの症候群などにも改善できることが期待されています。オキシトシンを摂取すると、たとえ金銭的損害を被っても再度、取引相手を信用してしまうなど、安易に他人を信用してしまうといった報告もあったりします。こうした日本をはじめとする多くの改善報告がされる中、研究によっては偽薬との差が認められなかったりするなど、今のところ世界中で自閉症治療薬としての利用は認められておらず、今後のさらなる研究が期待されている注目のホルモンなのです。
『参考・参照元』
「オキシトシンがつくる絆社会/シャスティン・ウヴネース・モベリ」
「人は愛することで健康になれる/高橋徳」
・論文ID( PMID: 28506922 )
・論文ID( PMID: 30990816 )